最終更新日 2024年5月17日
目次
■さまざまな問題を抱えている日本の教育
日本の教育はさまざまな問題を抱えていると言われています。
世界と比べて日本は最悪レベルという意見すらあります。
特に、帰国子女などが「子供ができても日本の学校に行かせたくない」などと発言している傾向です。
実際に海外の学校を体験した人の意見は説得力があります。
ここでは、我が国が抱える教育問題として代表的なものをあげてみることにします。
「なにが一番問題なのか」と考えると人によって意見が分かれる問題です。
近年話題となっているのは「ゆとり教育がいいのか、つめ込み教育がいいのか」という問題でしょう。
一時的にゆとり教育が導入されましたが、その問題点が浮上してからまたつめ込み教育のほうに揺れているというのが現状。
つめ込み教育派はとにかく知識をつめ込むことが重要であると考えます。
コミュニケーション能力は不得意でもいいので、とにかく正しい知識をできるだけ多くつめ込もうという方針なのでしょう。
これは伝統的な日本の教育方法であると言えます。
一方のゆとり教育派は、協調性やコミュニケーション能力を重視し、知識をたくさん持っていることはそれほど重要ではないと考えます。
思うに、今の時代はインターネットで検索をすればたいていの情報は手に入ります。
そのような時代なので、情報をたくさん持っていることはそれほど意味を持ちません。
それよりも情報を処理する能力、たくさんのデータの中から正しいもの・役に立つものはどれかを判断する能力のほうが重要でしょう。
個人的にはゆとりのほうが今の時代に合っていると予想します。
しかし、たくさんの知識を頭につめ込むことで情報処理能力や判断力も高まってくるので、つめ込み教育のほうが先に来るべきという意見も一理あるでしょう。
結局、バランスが重要という結論に至るかもしれません。
■教育を阻害している受験戦争と貧困の連鎖
教育問題としてよく出されるのが受験戦争がかえって教育を阻害しているという意見です。
高校受験や大学受験のために生徒は塾に通い、自由な時間を喪失しています。
これは子供たちの健全な心の成長を阻んでいると言われています。
また、受験戦争に敗れた人はあたかも人生をドロップアウトしたかのように扱われることがあることも問題です。
今の社会が抱えている大きな問題は「貧困の連鎖」でしょう。
貧乏な家庭で育った子供は大人になってから同じように貧困に陥るというデータがあります。
これは、貧困家庭の子供は塾に行ったり、習い事をしたりすることが難しいことが理由の1つです。
格差が拡大した結果、貧困家庭が増加していると言われています。
今後ますます「貧困の連鎖」の問題は問題として浮上するようになるかもしれません。
■社会が個性よりも規律を重視することが問題
マニュアル教育・ロボット育成教育ということもよく言われています。
なんとなく給料がよさそうだからという理由で医者や弁護士を目指す若者が多く、その反面で芸術家になりたい・ミュージシャンになりたいという夢は否定されがちです。
しかし、マニュアル教育・ロボット育成教育がとられていることの理由は社会にあります。
人間は未知なるものを恐れる生き物です。
マニュアル通りに動く人間、予想しやすく制御しやすい人間のほうが社会で評価されやすいです。
逆に、理解できないもの・制御できないものはモンスターのように恐れられてしまうことがあります。
作新学院の理事長でもある畑恵氏の著書にも「仕事や日常生活でも異分子を排除するように集団で働きかけることがありますが、コントロールできる人間だけを残したいという感情からではないでしょうか。社会が個性よりも規律を重視するから、学校教育もそれに従っているということです。」と述べられています。
■日本の教育レベルは決して低くはないが、単純にはいかない教育問題
モンスターといえば、モンスターペアレンツという言葉も一般的に使われるようになりました。
教師たちが一番恐れるのは家庭から「先生の指導が悪い」と言われることです。
教師は強い権限を持っているわけではなく、むしろPTAやモンスターペアレンツのほうが強い力を持っていると言われています。
教師は家庭から苦情が来ることを恐れ、勉強だけを教えるようになります。
高校や大学は義務教育ではないので比較的自由な指導ができます。
しつけは高校や大学へと押し出されているのが現状。
しかし、高校や大学でも身につかなければ社会へと押し出されます。
企業が新入社員に持つ印象として、「学力がない」「教養がない」というよりも「しつけがなっていない」「マナーが悪い」「敬語・礼儀が身についていない」といったもののほうが多いことが学校でしつけがされていないことの結果と言えるでしょう。
日本が抱える教育問題として代表的なものをあげてきましたが、いかがでしたでしょうか。
日本の教育レベルは決して低くはなく、むしろ世界的には高い水準にあるそうです。
先進国のアメリカなどでも足し算・引き算ができない人もたくさんいると聞きます。
そう考えるとしっかりとした教育がなされており、ほぼすべての国民が一定以上の学力を有する国になっていると言えます。
海外のシステムをそのまま採用すればうまくいくという単純な問題でもないのです。